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間取り診断のハウス設計 住宅計画基礎知識

1.配置計画2.全体計画3.平面計画4.各室計画

Ⅲ 住宅計画の平面計画

1 ブロックプランニング

住宅の各空間をブロックごとに配置計画することをゾーニングという。ゾーニングは敷地全体を考えて行うことが大切である。

住宅のブロックには5つある。

ハウス設計 間取りづくりサポート

  1. 共同的な生活空間(パブリックゾーン):居間、食事室、客間
  2. 個人的な生活空間(プライベートゾーン):寝室、子供室、老人室
  3. 家事空間:台所、家事室(ユーティリティ)
  4. 生理・衛生空間:洗面・脱衣室、便所、浴室
  5. 交通空間:玄関、廊下、階段

以上のブロックを動線を踏まえて、うまく組み合わせて計画する。

例えば、家事空間は台所のそばに家事室があり、そのそばに洗面所など生理・衛生空間があれば、動線の短い良いつくりになる。

生活スタイルによってはブロックを柔軟に考えた方がよい場合もある。LDKやDKの場合は、家事空間はパブリックゾーンとして考えた方がよいし、子供室はプライベートゾーンとして居間から離れたところにとるよりも、むしろ居間とつなげて考えたいという場合もある。我が家の生活スタイルに合わせて計画することが大切である。

2 住宅の動線計画

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動線とは人や物の動きを線で表したものをいう。動線には家族それぞれの動線、ゴミの動線、買い物をしたときの物の動線、来客の動線、車の動線などがある。

動線のポイントは

  • 動線は単純明快
  • 動線はなるべく短く
  • 種類の違う動線がなるべく交差しない
  • 通行量が多い動線を短くする
  • 避難のための動線を確保する

である。ただ、家族構成やライフスタイルによって基本通りにはいかない場合もある。例えば、子育て中の家族なら子供との関わりが多くもてるように、居間を通らないと子供室にいけなくするとかのように、あえて動線を長くすることも考えられる。

また、廊下→リビングダイニング→台所→廊下と回遊できる動線にすると、動線に柔軟性ができ、おもしろい空間になることもある。要は、これらを家族それぞれの動きや過ごし方をイメージしながら、部屋の配置と併せて考えることが大切なのである。

3 収納計画

引っ越しするとき、どこから出てきたのだろうと思うくらい、いっぱい物がある。生活用品だけでも、衣類、寝具、食器類、洗面用品、トイレ用品、季節物、家事用品、書籍、調理器具などがある。家は、これらのものを収納しなければならない。

では、住宅の延べ面積に対してどのくらいの割合を収納スペースに当てたらいいのだろうか。それは約10%と言われる。満足できるのは約12%からであろうか。

それらの収納は一くくりで考えるのではなく、その目的、対象など様々な面から捉えて、最適な量と位置を生活スタイルと連動させながら考えることが必要である。

(1)収納の考え方

大きな倉庫を設けて全部入れ込んでしまうことも考えられるが、収納の基本は使いたいときに取り出しやすい所にあることである。壁の中をくり抜いたり、壁の上下部分を利用したりして、置きたい物が置けるだけのスペースを考えるようにしたい。

(2)収納する頻度による分類
  • 日常的な物:タオルや下着類、食器類など日常的に使用する物。
  • 季節な物:季節ものの衣服、冷暖房器具。
  • 長期な物:思い出の品など滅多に出し入れされることがないような物。
(3)収納の仕方による分類

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  • 見せる収納:リビングの壁面収納や応接スペースの収納。
  • 見える収納:本や食器類の収納など見えてしまう収納。
  • 隠す収納:日常は目にしたくない収納。
(4)収納する位置による分類
  • 集中収納:納戸や倉庫など、一つの部屋として設ける。
  • 分散収納:廊下等の壁面を含めて各部屋に分散して設ける。

※デッドスペースの活用

面積を節約する関係上、納戸などを一つの部屋として設けられない場合がある。そんなとき、屋根裏、床下、階段下の空間は役に立つ。屋根裏は滅多に出し入れされることが無いような物を収納するスペースに利用し、床下は台所などに設け、食品庫として使う。階段下のスペースも、掃除用具、特定の季節に使用すると便利である。また、階段は家具のように、階段を引出し式にする方法もある。

4 将来を見据えたフレキシブルな計画

住宅は長い間、使うものである。10年先、20年先、30年先にも対応できるようにしたい。その典型的な部屋が子供室である。子どもが小さい間は広いワンルームを用意して、小学校高学年ごろ、個室が必要になったころには簡単に区切れるようにする。また、子どもが巣立った後の使い方も考えておきたいものである。

遠い将来にも対応できるようにするためには、リフォームのしやすさも大きく関係する。その点、日本の伝統的な工法である在来軸組工法は、耐力壁以外は容易に取り外すことができるので、リフォームしやすい工法と言える。

※ 部屋の簡単な区切り方

  • 壁の代わりに本棚や家具で区切る方法。
  • 取り外しの簡単な建具で区切る方法。
  • 筋交いの入る耐力壁ではなく、単なる壁で区切る方法。

5 その他

(1)耐力壁

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地震に強い住宅を造るには、耐力壁を適当な長さでバランス良く配置することが重要である。そのために、以下のようなことに留意して計画する。

  1. 耐力壁の長さは半間(910mm)以上にする。
  2. 部屋の四隅になるべく耐力壁を設ける。
  3. なるべく上下階の耐力壁を重ねる。
  4. 縦横方向の耐力壁のバランスを良くする。
(2)プランニングとコスト

プランニングとコストには次のような関係がある。

  1. 延べ床面積が大きくなるほどコストは高くなる。
  2. 部屋数が多くなるほどコストは高くなる。
  3. 平屋建ての方が2階建てよりも、外壁の量は少なくなるもののトータル的にはコストが高くなる。
  4. 外壁の凹凸があるほどコストが高くなる。
  5. 屋根の形状が複雑になるほど、コストが高くなる。
  6. 吹き抜けやバルコニーがあれば、コストが高くなる。

以上のことを考慮すれば、総2階建てのシンプルな家がコスト的には有利になる。

(3)吹き抜け

吹き抜けは平面的な広がりだけでなく、立体的な空間の演出ができる。ただし、デメリットも多いので床暖房にするなどの対策を十分に考慮した上で、吹き抜けを設けたい。

1) メリット
  • 天井が高いから、空間が広く感じられて開放感を感じることができる。
  • 高いところに窓などを設置すれば自然の光も取り入れやすくなる。
  • 容積率を計算する上で、延べ床面積に入れる必要がない。
2) デメリット
  • 暖かい空気は上昇するので、特に暖房の効率が悪くなる。
  • 天井が高い場所にあるからメンテナンスや手入れが大変である。

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