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間取り診断のハウス設計 住宅計画基礎知識

1.配置計画2.全体計画3.平面計画4.各室計画

Ⅰ 住宅計画の配置計画

間取り診断で送られてくる図面を見ると、簡単な建物の配置が分かる程度の図はあるものの、道路から玄関までのアプローチや庭の計画が全く分からないものが多い。見積もりの中にも外構に関しては別途予算になっていることが多いので、まずは、家の間取りが決まってから、庭の計画をしようということであろう。

しかし、家の間取りは道路との関係で大きく変わるし、外構計画は家のイメージにも大きく影響を与える。極端に言えば、樹木一本で家のイメージは大きく変わる。

外構には庭(主庭、前庭、テラス、坪庭、サービスヤード等)、門、塀、生け垣、郵便受け、駐車スペースそして植栽などいろいろある。当初の予算の中ではできなくても、予算オーバーな部分は後から行うことも考えられる。自分でゆっくり庭を造るのも楽しいことである。計画したものを建物と同時に施工しなくても、計画だけはしておくようにしよう。

 

1 基本事項

  1. 道路境界線から住宅までの距離は、1~2m程度は確保する。
  2. 隣地境界線からの距離は、防火、通風などのうえから1m以上とする。民法では原則として50cm以上とする。
  3. 日照、採光などを考慮して、南側を広くあける。
  4. 全体の平面形状は、東西が長い長方形とし、真南または真南から15°以内東に向いた配置が望ましい。
  5. 居間、食事室に接してテラスを設ける。
  6. 勝手口まわりににサービスヤードを設ける。
  7. 余裕のあるアプローチを設け、玄関まわりにはポーチを設ける。
  8. 駐車スペースは道路や玄関と連絡しやすい位置に設ける。

2 道路と建物の配置について

日照、通風、プライバシーまたは敷地の有効利用を考慮して配置する。

(1)道路の位置による建物の配置の基本

道路の位置による建物の配置の基本

 

道路の位置による建物の配置の仕方
A 南側に広い庭がとれる。
B × 日当たりの悪い北側の庭になる。
C × なるべく居室の日当たりを良くするように建物は東西に長くする。
D 南側に広い庭がとれる。
E × 日当たりの悪い北側の庭になる。
F × なるべく居室の日当たりを良くするように建物は東西に長くする。
G 南側に広い庭がとれる。
H 南側に広い庭がとれる。
I × なるべく居室の日当たりを良くするように建物は東西に長くする。
J 南側に広い庭がとれる。
K 南側に広い庭がとれる。
L × なるべく居室の日当たりを良くするように建物は東西に長くする。
M 南側に広い庭がとれる。
N × 建物が西日の当たる南西に向いている。
O 南側に広い庭がとれる。
P 南側に広い庭がとれ、建物が朝日の当たる南東に向いている。
Q × 建物が西日の当たる南西に向いている。

※この○×の根拠は、日当たりをよくするために建物は東西に長く南側の庭を広くとる、である。

現実的には、敷地面積や形状、近隣の環境や道路状況そして駐車スペース等々いろいろな条件を総合的に判断して決めるものであることはいうまでもない。

(2)道路の位置による敷地の特徴

実際は恵まれた条件の土地ばかりではなく、道路に対しての間口が狭いとかいろいろな敷地がある。また、狭いが故に隣家に近すぎるとか、窓が隣家の窓に面するとか、玄関が向かい合ったりすることもある。そんな悪条件を逆に有効に使い、我が家の特長にしていきたい。

≪1≫ 側道路の場合

北側道路の場合

  • 南に広く庭をとれる
  • 玄関は北側になるので、居室を南側に配置しやすい。
  • 勝手口を道路近くにとりやすい。
  • 道路が建物に近くなり、道路の騒音対策や道路からの視線対策が必要である。
≪2≫ 側道路の場合

南側道路の場合

  • 前面が開いているので日当たりはいい。
  • 道路と建物の距離が遠くなり、静かである。
  • アプローチを南側道路からとることで、庭がアプローチにより分断される可能性があり、庭のプライバシー対策が必要である。
  • 建物の外観を強調できる。
  • 間口の狭い土地だと1つしか南側に部屋が取れない場合もある。
  • 南の庭を駐車スペースにとられる。
≪3≫ 西側道路の場合

西側道路の場合

  • 西日の当たる西側に玄関を設けることで、南側に連続した居室が配置しやすい。
  • 連続した庭を作りやすい。
  • 朝日の当たる東側にLDKなど配置しやすい。
≪4≫ 側道路の場合

東側道路の場合

  • 東側に玄関を設けることで、南側に連続した居室が配置しやすい。
  • 連続した庭を作りやすい。
  • 西日の当たる西側にLDKなど居室を配置する場合、西日対策が必要である。

3 配置計画のテクニック

配置計画は、敷地の広さ、高低差、形状を考慮して計画するが、建物の構造や間取りと同時に考えることが大切である。また、庭を敷地の余った部分ととらえるのではなく、積極的にきちんとレイアウトしておきたい。

(1)ゾーニング

ハウス設計 間取りづくりサポート

ゾーニングとは、住宅の間取りを考えると同時に庭、カーポート、サービスヤード、アプローチをどう配置するかを検討することである。敷地の特徴(道路の位置、方位、形状、周囲の環境等)を理解し、それを最大限に活用したい。

1) ゾーンの種類と計画する上でのポイント
  1. アプローチ:道路から玄関までの通路と門周りは家の第一印象を決める重要なポイント。
  2. 主庭:バーベキューなど活動的な庭や眺めるだけの静的な庭などライフスタイルに合わせて計画。
  3. 駐車スペース:前面道路と建物位置、車の駐車台数・大きさ、アプローチや玄関への動線を考慮し計画。
  4. サービスヤード:屋外での家事作業のスペース。道路や勝手口との関係を考慮し計画。
(2)外構の形式
1) オープン型

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門扉や塀などは設けないタイプで、比較的小規模な敷地に向いている。

植栽を上手く利用しアプローチへの誘導や視線を遮る等の工夫をすることが大切である。

2) セミオープン型

オープン型とクローズド型のそれぞれの特長を取り入れたもの。

3) クローズド型

門扉や塀などで敷地を囲うタイプで、一般に敷地に余裕があるところに採用されている形式。街に対しては閉鎖的な印象を与える。

(3)外構のデザインスタイル

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建物や周囲の環境とバランスをよく考え、外構のデザインを考える。

  1. モダン:シンプルで明るく、機能的な構成のモダンなデザイン
  2. ロマン:優雅でしゃれた装飾的なデザイン
  3. 洋風:西欧の伝統的な様式や雰囲気を取り入れた洋風なデザイン
  4. 和風:日本の伝統的な様式や雰囲気を取り入れた和風なデザイン
(4)外構の構成要素
1) 門・塀

家の外観とも調和するようにすることは当然であるが、街並みとも調和するようにする。防犯性を考えると閉鎖的にするより、むしろ開放的な方が可視性が高くて良い。

門には表札、インターホン、ポスト、宅配受け、照明などの設備を備える。オープン型の場合にも簡単な門柱は設けたい。門柱があることで外観形成状のアクセントにもなるし、防犯にも役立つ。

塀を設けない場合も、段差をつけるとか、地面の仕上げを変えるとか、植栽することで区切りはつけたい。

2) アプローチ

公私の行動の区切りの場であるし、客や外の道を行く人に対しては、わが家らしさをさりげなく伝えるメッセージ的な役割を担う場である。そのために、トイレや浴室など私的な部分を侵さないように配慮し、門から玄関までのアプローチを長くとることによって雰囲気をつくる。

場合によっては、角度を変えたり、土間の仕上げ材を変えたり、緩やかなレベル差をつけたりして、奥行きある空間を演出するようにする。植栽も積極的に活用する。道路から主庭や居室内が見える場合は、玄関と門の位置を考えたり、塀や植栽等で視線の対策をする。また、死角になりやすい場所には外灯をつけるなど防犯にも注意したい。

3) 庭

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《1》主庭

テラスやウッドデッキなどで趣味やライフスタイルに合わせて計画する。室内との一体感が大切になる。一方、眺めるだけの庭もある。特にこの場合は、室内空間との位置を考えた植栽計画が大切である。

  • 常緑樹:火災や風を防ぐ
  • 落葉樹:夏は日差しを防ぐ、冬は日差しを取り込む

《2》前庭

建物の前の庭のことで、アプローチの雰囲気作りに効果的である。

《3》坪庭

坪単位の小さな庭のことで、面積が狭いがゆえに「主役」と「脇役」をしっかりと決めてメリハリの効いた配置を形作っていくことが大切である。中庭・ベランダ・浴室・玄関などに設置する。

《4》サービスゾーン

一般的に家の側面や北側に勝手口からの動線を考えて設ける。機能としてはゴミ搬出、食材の搬入、エコキュートなど室外機や給湯器の設置、物干し場、日曜大工の作業場、漬物や泥つき野菜などの食品貯蔵などがある。

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《5》 駐車スペース

人と車の動線が重ならないように、車のアプローチは人の動線と別にする。直角駐車は3m×5.5m、平行駐車は8m×2.5mのスペースが必要である。駐輪スペースも忘れないようにする。

※タイプ

  • オープンタイプ:屋根なしの駐車スペース
  • カーポートタイプ:柱と屋根だけの簡易な駐車スペース
  • ガレージタイプ:独立型と建物に組み込むビルトイン型

1.配置計画2.全体計画3.平面計画4.各室計画


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